ドイツナチュラルワインの若き旗手マルトの無農薬無添加の極み

 ラインヘッセン地方のマルティン・ヴェルナー氏は1993年生まれ。ヴェルナー家は代々ブドウ造りを生業にしており、祖父の代まではスパークリングワイン用に全てのブドウを売っておりました。

 マルティンの父の代から自社ブドウを使った醸造を開始。

 男3人兄弟の次男坊のマルティンの父親は寡黙で厳格な昔気質、幼少の頃から厳しく育てられました。

 在学中の10代は、ギターやドラム、ペインティングなど音楽やアートが大好きで、さらに数学も得意だった彼は自由な発想を形にしたいと建築家になる思いをもっていたそうです。

 ところが卒業前に、父親から知人のワイナリーの収穫の手伝いに派遣され、大きく人生と考えを方向転換します。

 自らに『ヴィニュロンのDNAが宿っている』ことに気付いた彼は、卒業後は様々なワイナリーで研修生として働きワイン造りの勉強を開始、2015年にはオーストリアのナチュラルワインの造り手グートオッガウ、2016年はフランスのマタッサで学びます。

 そんな折、父親が病気で倒れてしまい、2016年秋、マタッサでの収穫終了後、彼は実家に戻ります。そして父の持つ7haの畑のうち3haを自分のタイミングで収穫し、2016VTGより初めて自らのワイン造りを開始。(マルトワインシリーズの誕生です。マルトとは彼のニックネームです)

 これを契機に実家の畑の一部を正式に譲り受け、自らの修行で得た知識を元にブドウ造り・ワイン造りを開始。 彼が目指すのは無農薬の畑でのブドウ造りと自然酵母での発酵と酸化防止剤無添加のナチュラルワイン。 ナチュラルで透明感ある味わいをベースに、軽やかさと複雑さを兼ね備えたワインが彼の目指す基本スタイルです。ゆくゆくはクラシカルなスタイルのリースリングを造ることを視野に入れながらも、まだまだ若いので今は自由な発想でリスクに挑戦していきたいと語ります。

 2016年の初VTGに父から譲りうけた畑は、現在計4.5haまで引き継いでおります。譲り受けた区画は、標高300mの小高い丘まるごと360度をぐるりと囲むようにブドウが植えられており、 北側の斜面はWURZER(ビュルツァー)、FABER(ファーバー)、BACCHUS(バッカス)、MULLER-THURGAU(ミュラートゥルガウ)、SYLVANER(シルヴァーナー)、SCHEUREBE(ショイレーベ)が混色で植えられており、土壌は小石混じりの砂岩土壌です。

南側の斜面がRIESLING(リースリング)の単一畑となっています。

 現在、父と三男が実家でマルティンを手伝っており、長男の兄は別のワイナリーで研修中。

 将来は兄も実家にS戻る予定で、男4人で実家すべての畑を無農薬に変え、ますますナチュラルワインに傾倒していくと夢を語るマルティン。

 協力を惜しまず自由に畑・ワイン造りに挑戦させてくれる父に感謝してもしきれないと語るマルティン、ワイン造りで自らの発想を具現化する若い芸術家の今後に期待が高まります。

『アランナ シリーズについて』

 Alanna Lagambaアランナ・ラガンバはMartinマルティンの彼女、スレンダーな見た目とは裏腹にエネルギーがあふれ出まくっておりかなりパンチある女性なんです!

そして見た目通り、とてもオシャレな美人さん。

カナダ出身でベルリンのレストランで働いてる時にマルティンのワインの虜になり、ラインヘッセンの小さな街にあるweingutへ一人突撃訪問したらしい。

で、結局付き合うことになり、もう既に数年一緒にMartoの実家に住みつき笑、畑で一緒に働きセラーでもMartinと共にタクトを振るっている。ナチュラルワインの世界では、昔から”攻めたワイン”なんて言葉があるけど、Alannaは”攻めた女性”です笑

 英語はもちろんスラング全快、むっちゃ早くてむっちゃnativeすぎて僕ごときではスピードについていくのも言葉を理解するのも至難で…笑

テンション上がると止まらない、更にスピードあがる。。。

もうちょっとゆっくりしゃべって、、、、、笑

でも、ワインのセンスや審美眼は無茶苦茶いい!

 マルティンと一緒に始めたアランナ シリーズは、マルティンのワインとは一味違い、なんだか女性的な味わいのシリーズ。

マルティンの厳格さ&冷静さにアランナの情熱が見事に溶け合ったシリーズで、遊び心ありながらもいいところを程よく攻めていてそれでいて全くチャラくない、そんなワイン達。

マルティンの父が一歩ずつ引退に近づいている状況で、アランナという有能でアクティヴ、情熱たっぷりなパートナーも得た事で彼らが父から家族から引き継ぐカバーする、

彼らが手をかける畑が増えていっている。

てことで、新しいキュベ達も仕込んでいこう、と。

それがアランナ シリーズ。

さらに年に1種類、全てを彼女だけで手掛ける仕込むワインもつくっている。

その素晴らしいピノノワールも実は既に入荷済みでそのストーリーも興味深いけど、それはまだまだ倉庫で寝かせますのでお披露目までお待ちくださいませ。

フランスAuvergneのVincent TricotやJuraのMarnes Blanches、LoireからはSebastien RiffailtやGrapperieなど

うちの錚々たる大ベテラン達の至極のワイン達と試飲したが、それらと比べても個人的には1番輝いてたのが彼らのワイン。

まだ30歳のマルティンともう少し若い?アランナ(すみません、年齢きいてません!)。

ガイゼンハイム出身の仲間達の中でも最も若く最もストイック、そして頭脳も明晰で厳しいVisionと審美眼をもつマルティンに、アランナという最高のパートナーが加わった。

これから彼らはどこまで行ってしまうのか。

毎年毎年の彼らとワインとの出会いが楽しみでなりません。